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自営業者の休業損害

  • 文責:所長 弁護士 田中浩登
  • 最終更新日:2023年1月31日

1 休業と減収

会社を休めばその日の分の給与が減収となる給与所得者と異なり、自営業者は、休業したからといって収入が減少するとは限りません。

そのため、自営業者の場合、何日休んだから休業損害がいくらといった計算をすることができません。

このような場合は、確定申告書の金額から休業損害を計算することになります。

2 確定申告書の比較

自営業者の休業損害を計算する場合、事故前の確定申告書と事故後の確定申告書を比較して、売上げから経費を引いた所得に減少があれば、その額を休業損害と考える方法が一般的です。

もっとも、経費のうち、「固定費」については、売上げから控除せずに休業損害を計算します。

固定費とは、休業していても事業を維持するために必要となる支出のことです。

固定費として過去の裁判例で認められたものには、店舗の家賃、従業員の給与、減価償却費、電気・ガス・水道などの公共料金、公租公課などがあります。

3 確定申告書上の所得が実際より低い場合

節税対策等で、実際の収入よりも低い金額で申告している場合は、売上表や金銭出納帳、銀行口座の通帳の履歴のような書類を基に、実際の収入額を証明できれば、実際の収入に基づいた休業損害を請求できます。

ただ、このような場合、結果として正しい税金を納めていなかったことになりますので、裁判官からは厳しい観点で見られることが多いです。

4 確定申告をしていない場合

確定申告を全くしていない場合には、上記3の場合と同様、売上表や金銭出納帳、銀行口座の通帳の履歴のような書類を基に、収入がいくらあったかを証明しなければなりません。

収入額を証明できなければ、賃金センサスを基準に休業損害を算出するという裁判例もありますが、平均賃金をもとに請求をする場合は、基本的には、その平均賃金を得ることができる蓋然性の立証がある程度必要となります。

実務上は確定申告書といった公的書類がないと休業損害の証明が困難になるケースが多く、裁判所からも厳しい判断をされる可能性があります。

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